透明な恋《短》




校舎裏の物置前。始業の前でもちろん人なんて居ない。



「単刀直入に言うわ。彼方に近づくのやめてよね!!」



リーダー格と思しき一人が、まくし立てるような勢いで言い放つと、私を突き飛ばした。受身もとらず思いっきり尻餅をつく。



「迷惑がってたわよ、貴女のこと!!ちょっと優しくしたら、懐かれて困ってるって」



よく見れば、昨日夜木君の隣にいた人か……。



ボーっと見ていると、平手打ちが飛んできた。横暴だと思う。



『……ッ』



「何とか言いなさいよ!!!!」



何とかって……何を言えばいいんでしょうか。どうせ何を言ったって怒るでしょう、冷静に話し合いましょうよ。



「私の事、馬鹿にしてるの!?!?」



胸倉をつかまれ、怒る彼女の顔と近くなる。息苦しいのは胸倉をつかまれている所為か、彼女の言った事にショックを受けているのか。



とりあえず、冷静に話し合いましょうって……。



< 23 / 34 >

この作品をシェア

pagetop