透明な恋《短》
『にゅう、え??なんで??』
「……まぁ、そうか俺の一歩的な一目ぼれだったし」
『はぁッ!?!?』
一目ぼれ!?私の、何処にそんな要素が!?!?
「入学式のとき、俺の落としたハンカチ拾ってくれたでしょ。ありがとって受け取ったら、信じられないくらい綺麗に笑うからさ……」
段々と尻つぼみになってく彼の顔を見上げると、茹蛸の様に真っ赤になっていた。
夜木君もこんな顔するんだ。
いつも爽やかで、いつも余裕があるってイメージだから新鮮。
「一目ぼれとかありえねぇって思ってたけど、なにやっても頭からあの笑顔が離れなくて。クラスは同じで、しかも席替えしたら隣の席、ずーっと話すタイミングうかがってた」
ギュッとまた抱きしめられ、耳元でボソリと彼は呟いた。
「かっこ悪いから言わないでおこうと思ったけど、図書室で最初にあったあれ。偶然じゃない」
『え』
「図書室で何回か見かけてたんだ。ちょっと話したらこの気持ちが治まるだろうって、思い切って話しかけた」
『……そうだったんだ』
「でも、違った。会えば会うほど、好きになって。いとおしくて、いっつも余裕でいようとしてたけど、内心はドキドキしてて」
彼の胸に耳を当てる、心臓の鼓動は私と同じくらい早い。ドキドキしてくれているんだと思うと、嬉しかった。