透明な恋《短》
番外編
【不器用だよ!!黒田君】
「黒田って不器用だよね」
ヘラッと笑う夜木に黒田は眉間に皺を寄せた。
「あぁ??ンだとコラ、んなこと言う前にまず俺に感謝するべきだろ」
「本当に素直じゃないよね、本当は椎名の事好きだったんだろ??」
「はぁ!?!?ざけんな!!何であんな根暗!!」
「……まぁ確かにちょっとネガティブではあるけど、素直だし可愛いし可愛いし」
後半惚気る夜木に黒田のこめかみがピクピク痙攣した。
「何しにきたんだテメェは」
「まぁ、お礼を言おうと思って、黒田が来てくれたから椎名の事助けられた。ありがと」
「……勘違いすんじゃねーぞ。俺は、あいつのために言ったんであってお前のためじゃね」
「はいはい」
「あいつ泣かせたら、ぶちのめしてあいつ奪ってやるからな」
「……安心してよ、そんな機会はあたえないから」
「そりゃあ、安心してられるな」
ジーッと夜木に視線を向けた黒田は、ハッと笑うとその場から立ち去った。
それを見送った夜木はハーッとため息をついた。彼がなぜ椎名に驚かなかったか。簡単だ、彼がいつも椎名のこと意識して見ていたから。
俺と同じってことだね。
「本当に不器用……椎名、絶対言うまで気づかないよ??透明人間って、あだ名つけてまで気を引こうとしてたこと……」
まぁ、敵に塩を送る事はしないけど。
夜木は、フッと笑うと椎名が待つ教室へと向かった。
【完】