透明な恋《短》
そう思って勉強を開始したが、まぁわからない。
今やっているのは、【十二の「子」文字】宇治拾遺物語に出てくるお話しの一つ。
とりあえず、小野さんがなにかした話らしい。ずっとノートとか見てるんだけど、わからねぇ……。
『小野さん、何したんだ』
「凄い眉間の皺」
ガッターンッと机を蹴り上げる。驚いて椅子ごとひっくり返りそうになった。
足で机を蹴り上げ、痛みに悶絶する。
「大丈夫??ごめん、そこまで驚くと思わなかった」
痛む足を押さえ見上げると、吃驚したように目を丸めた夜木君が立っていた。
『大丈、夫……な、んでここに??』
「……偶々さここら辺にきたんだけど、伊達さんがいたから声かけちゃった」
『そうですか』
「勉強してたの??」
『え、はい。古典苦手で』
「俺が教えてあげようか??古典得意だし」
『はい!?!?いやいや、滅相もない!!』
ブンブンッと頭を振る。無理無理!!人と話すの苦手なのに、しかも二人きりとか気まずいし!!