透明な恋《短》




「驚かせたお詫びにさ、ね??」



そこまで言われたら、断りきれない……。



『じゃあ、お願いします』



「うん、任せて」



ペコッと頭を下げると、彼はキラキラッと目を輝かせた。



そんなに、勉強を教えるの好きなんだろうか……。



「んー、とりあえず。内裏に「無悪善」って書いた看板……ようは落書きが立ててあった。これを誰が誰に読めって言ったか分かる??」



『帝、篁に、「読め。」ってことは、帝が小野さんにってこと??』



「そう、帝は立てられてた看板を何て読むか小野篁に聞いたんだ。それで彼は「さがなくてよからん」って読んだわけ」



『それで……って、どういう意味??』



「人間の性って聞かない??」



『う、うん。聞く』



これも人間の性だ……、って渋めな顔のおじさんがドラマで言って気がする。



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