いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー
第一章 転校1日目
またか
高2の9月。
まだ十分暑いのに夏休みがとっとと終わり、大学受験に脳を侵略され始め、学校がだるくていらつきを覚える――そんな時期に東郷勝子は飛鳥女子高に転校した。
父親の仕事の都合で小学校の頃から転校が多かった。でもこれが最後の転校だ。
例のごとく担任の教師から自己紹介を促され、勝子は深緑色の黒板の前に立った。そして自分の名前を言って軽く頭を下げた。
それで終わり。
最初のうちはちゃんとていねいに自己紹介をして――転校の理由とか、前にいた場所とか――最後に「宜しくお願いします」と感じよく笑ってお辞儀をした。
でもだんだん面倒になって省略していくうちに、名前を言って「よろしく」とお辞儀して終わりというパターンになってしまった。
まだ十分暑いのに夏休みがとっとと終わり、大学受験に脳を侵略され始め、学校がだるくていらつきを覚える――そんな時期に東郷勝子は飛鳥女子高に転校した。
父親の仕事の都合で小学校の頃から転校が多かった。でもこれが最後の転校だ。
例のごとく担任の教師から自己紹介を促され、勝子は深緑色の黒板の前に立った。そして自分の名前を言って軽く頭を下げた。
それで終わり。
最初のうちはちゃんとていねいに自己紹介をして――転校の理由とか、前にいた場所とか――最後に「宜しくお願いします」と感じよく笑ってお辞儀をした。
でもだんだん面倒になって省略していくうちに、名前を言って「よろしく」とお辞儀して終わりというパターンになってしまった。