いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー
学校の前の通りですぐにタクシーを捕まえ、勝子がウニクロ代々木店の地下駐車場に着いたとき、まだ勇たちの姿はなかった。
ずっと置きっぱなしにされているような車が数台あるだけで、駐車場はがらんとしていた。
勇にはその後も連絡をし続けているがうんともすんとも返事が返ってこないので、多分無理矢理ここにつれてこられようとしているのだろう――そう考えて、勝子は駐車場のちょうど真ん中あたりの壁にもたれて勇を待った。
すると5分もたたないうちに男たちの声が聞こえ、3人の男が腕を後ろ手に紐で縛った勇を連れてやってきた。
先頭に立つリーダーと思われる男は中肉中背、明日再会してもわからないほど特徴のないのが逆に特徴であるようなするんとした顔をへらへらさせていた。
もう一人は顔が将棋の駒のように角張っていて、目も口も線を引いたように横に細く伸びている。
一方もう一人は小さな丸顔で目も円くて小さい。
悪党のこけしがあればこんな感じだろう。全員Tシャツに腰まで落としたジーンズ姿。
長くはない脚がさらに短く見える。
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