いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー
「やめろ、彼女は関係ないだろ! 勝子、逃げろ!」
かまわず勝子は勇に向かって歩くが、勝子が逃げようとしていると思ったリーダーは、勝子の腕を掴んで捕え、顔を近づけてきた。
「逃がさないよ」
獲物を捕まえて嬉しそうな顔。
この男たちは他人を傷めつけるとき、いつもこんな顔をするのだろう。
下品で汚い笑顔。
勝子はその視線を受け止めながら掴まれているもう片方の腕で、リーダーのもう片方の手を掴んで後ろに捻り上げた。
「いてててて」
まさか反撃されるとは予想していなかったリーダー悲鳴をあげて顔をしかめ、それを見た将棋駒男とこけし男が勇を置いて勝子に向かって飛び出してきた。
「勝子!」
後ろ手に縛られたままの勇も勝子を助けようと走りだす。
勝子はまずひねりあげていたリーダーの腕を後ろに引いて床にころがす。
それから突進してきた将棋駒男のみぞおちをけりとばし、次にこけし男の股間を思い切り蹴り上げた。
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