いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー

俺のそばに

家に戻り、勝子は勇と共に今日の出来事を報告した。
できるだけあっさり伝えようとしたが父・剛は「あのくそガキ、ゆるさねーぞ」と聞いた瞬間に顔色を変えて怒り、兄・強は心配のバロメーターが目盛りを振り切ったように表情が固まった。
「すみません、僕のせいで」
真田家の食卓で、勇はうなだれる。
「だから勇の方こそ私のとばっちりを受けてるんだってば」
勝子が言い、
「そうだ、勇のせいじゃない。玉木兄妹のせいだ。あいつら、昨日手を出すなと念を押したのに」と強が言うと、
「だからじゃない？　私に手を出しづらくなって代わりに勇に腹いせしようとしたんだよ」と勝子が返す。
「じゃあ、俺のせいだっていうのか？」と強が珍しくつっかかると、
「だから原因は玉木だってば」と勝子が面倒くさそうにあしらう。