いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー

「警察に通報してくれたのあなたでしょ?」
昨日駐車場から勝子が110番に通報すると、すでに他の人から通報が入っているということだった。
机に伏せていたひかりが顔を上げる。
おでこには腕で押された部分に赤い痕がついている。
ひかりは勝子と一瞬だけ目を合わせると、すぐにまたうつ伏せてしまった。
「有り難う」と言うと、ひかりの頭がわずかに揺れた。

高木さんをはじめ、勝子に声をかけてくるクラスメイトが増えた。
でも勝子は相変わらず校庭の裏庭の木々のそばに座って一人でお昼を食べ、授業が終わると挨拶だけ交わし、大急ぎで帰宅する。
ひかりをわざわざいじめる人はいなかったけど、誰も彼女と関わろうとはしなかった。
ひかりはかつての山城さんのように一人になった。
一方、山城さんはひかりのいじめから解放され、ほかの友人の輪に入り、表情が明るくなった。
勝子と目が合うと積極的ににっこりと笑いかけてくる。
ぼうぼうだった眉毛を少し整え、見た目も見違えるほどきりっときれいになった。
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