いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー
「ちょ、ちょっと何よ!」
「バカにしてるの?」
と言ったのは美加と美樹で、ひかりは不思議なものを見るように勝子を見つめた。
「聞いてるだけ。もっと丁寧に言わないとわからないのかな、と思って」
傾げた顔をもとに戻し、勝子はゆっくりと立ち上がった。
昼休みだというのにいつの間にかざわめきが消え、しんとした教室に、ガガガと椅子が床をこする音が響いた。
ひかりVS転校生・勝子。
多分、皆「やめればいいのに」と思っている。
「あーあ、転校生が正義感だしちゃって」というあざけりのにおいもする。
いずれにしても誰も転校生を慮るものはいず、ただ観察している。

ひかりたちに刃向えば、明日からお前が標的になるのに、という憐れみとちょっとした好奇心を浮かべながら。
他人事のトラブルほど楽しいものはない。
< 12 / 125 >

この作品をシェア

pagetop