いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー
第6章 告白
かっさらっていいですか?
時間はぐいぐい流れ7月に入った。
強と勇は道場に飾る七夕飾りの笹を、近所の邸宅にもらい受けにいった。
大きな地主の家で、都心にあるとは思えない広い庭には笹藪があった。
「どれでも好きなのを切ってもっていっていいからね」と主人に言われ、強と勇は遠慮なく大ぶりの笹の木を選んでちょうだいした。
道場に笹を立て、強がその横に短冊とペンを置く。
勇は短冊に目を落とし、一番上の青い短冊を1枚手に取った。
「勇、願い事があるなら書いておけよ。一番乗りだ。叶えてもらえるかもしれない」
手元の短冊を見つめ、勇は「でも俺の願い、強さんは叶えたくないかもしれない」と言って元に戻した。
「どういう意味だ?」
強が訝しげな視線を送ってくる。
そんな強に緊張しながらも、勇はたずねた。
「強さん、俺が勝子をかっさらっていいですか?」
眼を細め、強は何も答えず勇を見つめる。
ほんの数秒間が空いた。
「なんで聞く? 兄貴だからか」
「そうじゃなくて――強さんも多分、いやきっと勝子を好きだと思ったから」
「なに言ってんだ、勝子は――」
「本当の妹、じゃないですよね?」
切れ長の目が見開かれ、強の瞳が珍しく動揺して揺れた。
強と勇は道場に飾る七夕飾りの笹を、近所の邸宅にもらい受けにいった。
大きな地主の家で、都心にあるとは思えない広い庭には笹藪があった。
「どれでも好きなのを切ってもっていっていいからね」と主人に言われ、強と勇は遠慮なく大ぶりの笹の木を選んでちょうだいした。
道場に笹を立て、強がその横に短冊とペンを置く。
勇は短冊に目を落とし、一番上の青い短冊を1枚手に取った。
「勇、願い事があるなら書いておけよ。一番乗りだ。叶えてもらえるかもしれない」
手元の短冊を見つめ、勇は「でも俺の願い、強さんは叶えたくないかもしれない」と言って元に戻した。
「どういう意味だ?」
強が訝しげな視線を送ってくる。
そんな強に緊張しながらも、勇はたずねた。
「強さん、俺が勝子をかっさらっていいですか?」
眼を細め、強は何も答えず勇を見つめる。
ほんの数秒間が空いた。
「なんで聞く? 兄貴だからか」
「そうじゃなくて――強さんも多分、いやきっと勝子を好きだと思ったから」
「なに言ってんだ、勝子は――」
「本当の妹、じゃないですよね?」
切れ長の目が見開かれ、強の瞳が珍しく動揺して揺れた。