いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー
「バカにしてるじゃない!」
美加が小さめの丸い目をますます丸くし、顔に似合わず野太い声をあげた。
「理解しているならちゃんと説明してくれる? どうして私が後悔するのか」と言いながら勝子は東郷さんの席に近づいていき、ひかりの正面で止まった。
身長159センチの勝子とひかりの顔の位置はほぼ同じだ。勝子はまた首を傾げ、返答を待つ。
「それは……」
「それは? 私のこともこれからいじめてくれるってことかしら?」
右側の口角を軽く上げる。それはちょっと相手を馬鹿にしたような笑みになる。
ひかりがひくっとマスカラで長く伸ばしたまつ毛あげて、「絶対、後悔するから」とまた同じことを繰り返し、ひその場を去ろうとした。
けれど彼女が横を向いて揺らした腕を勝子がつかんだ。
ひかりが止まり、それに続こうとした美加と由貴もひかりの背中にぶつかり止まる。
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