いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー
「ちょっと、この靴、エルメスだよ」
「あいつ、もしかして金持ち?」
「やったね。金、いっぱいふんだくれるかもよ」
「ねえ、この靴さあ、めちゃ高いから捨てんのもったいないよ。まだ新しいし」
「じゃ、売る?」
校庭の裏。
ひかりと美佳と由貴は、つやつやと美しい黒のモカシンを眺めながら密談している。
「10万円以上するよね」
ひかりがモカシンを目の高さに掲げる。
「まだきれいだから、ネットで5万で売れんじゃない?」
美加がひょいっと「H」の飾りをなでる。
「触らないでよ」
その声に3人はびくっとし、同時に後ろを振り向く。
上履きを履いた勝子ににこっと笑いかけられ、3人はまたびくっとする。
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