いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー
まさか高校生になってまで強が迎えにくるとは思っていなかった。
いや実はチラッと脳をかすめたが、まさかね、と思っていた。
「俺よりは子供だよ」
笑みを浮かべながらそういうと、強は勝子の隣に並んで歩いた。
勝子は後ろからついてくるひかりたちの気配を感じながら、さてどうしようかと考える。
先に帰っていった山城さんの姿がもう見えないのを確認し、「ま、今日はいっか……」とつぶやく。
それを察した強が、肘で勝子をこずく。
「おい、またなんか企んでるだろ」
強に瞳をのぞかれ、勝子はぶんぶんと首を振る。
「そんなことないよ」
「いや、朝は結んでいなかった髪を束ねているってことは、戦闘態勢ってことだ」
頭の中央で揺れる勝子のポニーテールを、強は指ではじいた。
チッとわざと勝子は音を出し、ため息をつく。
「こら、舌打ちするな」