いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー
子供のころから武道を叩きこまれている強は行儀にもうるさい。
「強ちゃん、お父さんみたい。じじむさい」
「じ、じじむさいとはなんだ。まだぴちぴちの25歳だぞ」
「ぴちぴちなんて言うところがジジ臭いよ。あーあ、せっかくこれからの展開を楽しみにしてたのに」
強――美しく冷たいロックアイスのような男――の心を、勝子はたやすく打ち砕いてしまう。
まだ25なのに、8歳年上の兄はじじいのように見えるのか――強は勝子のたわいない言葉にダメージを受けながら、それでも冷静を保ち問いかける。
「楽しみにするような展開になっているわけか、転校初日から」
しかし勝子はその問いをスルーして、首を少しだけ動かして後ろをうかがう。
ひかりたちもこちらをうかがっている。
強の登場に予定が狂い、さらに勝子を迎えに来た男がなかなかのイケメンで、興味津々&ジェラスといったところだろう。
強がいるから今日はなにも手出しをしてこないに違いない。
明日からが本番かなと、勝子は山城さんがくれたリストを思い浮かべた。
「おい、勝子、聞こえてるか? 返事しろよ」
挙動不審な勝子を見ながら強はため息をつく。
「強ちゃん、お父さんみたい。じじむさい」
「じ、じじむさいとはなんだ。まだぴちぴちの25歳だぞ」
「ぴちぴちなんて言うところがジジ臭いよ。あーあ、せっかくこれからの展開を楽しみにしてたのに」
強――美しく冷たいロックアイスのような男――の心を、勝子はたやすく打ち砕いてしまう。
まだ25なのに、8歳年上の兄はじじいのように見えるのか――強は勝子のたわいない言葉にダメージを受けながら、それでも冷静を保ち問いかける。
「楽しみにするような展開になっているわけか、転校初日から」
しかし勝子はその問いをスルーして、首を少しだけ動かして後ろをうかがう。
ひかりたちもこちらをうかがっている。
強の登場に予定が狂い、さらに勝子を迎えに来た男がなかなかのイケメンで、興味津々&ジェラスといったところだろう。
強がいるから今日はなにも手出しをしてこないに違いない。
明日からが本番かなと、勝子は山城さんがくれたリストを思い浮かべた。
「おい、勝子、聞こえてるか? 返事しろよ」
挙動不審な勝子を見ながら強はため息をつく。