いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー
「痛い!」
ひかりが思わず顔を歪める。
「何するのよ!」「放しなさいよ!」
美加と美樹が交互に怒鳴るが、2人が近寄ろうとすれば勝子はその分、掴んだ光の腕に力を増していく。

目の前の光景に美加と由貴は動揺して動けなくなった。
これまでひかりに逆らうものなどいなかった。
ひかりを相手に戦う女なんていなかったのに。
だから自分たちはひかりについてきたのに――何なの、この転校生は。

「もう一度だけ言うけど、もう私にかまわないでくれるかな」
ひかりの腕を捻り上げたまま勝子は念をおした。
声も出せずひかりはただ顔をしかめている。
なので代わりに美加が「あんたのせいで私たち、もう少しで停学だったんだから。謝んなさいよ」と、なんとか怒りを代弁した。
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