いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー
「なんだじゃないだろ。2分も遅れてじい様だったら、破門だぞ」
確かにそうだ。
でもだったら中止にして、隣の道場で剛が教えている武道塾の一般の稽古――勇も受けている――でよかったのに――という勝子の心の声はそのまま強に聞こえてしまったらしい。
「予定は予定だ。それと礼儀はわきまえろ」と、強は厳しい師匠の顔になった。
勝子はよく磨かれた板張りの床に膝をつき、正座をして頭を垂れた。
「遅くなりました。申し訳ありません」
と、その時、強の木刀が勝子が座る右側から床をすべるように振りだされた。
木刀が膝を打つ寸でのところで勝子は飛び跳ね、打撃を交わす。
しかし次の瞬間には床に着地した勝子の肩に木刀が振り落とされる。
しかし勝子はやはり肩を打たれる直前に身をひるがえし、その木刀を交わした。
「さすがだな」
褒められたのに、勝子は怒ったように唇をキュッと結び俯いた。
先ほどの自分を悔いているのだ。
ひも、ほどけてるよ――
あんな嘘に引っかかってなぐられるなんて。
さすがどころかすきがありすぎだ。
確かにそうだ。
でもだったら中止にして、隣の道場で剛が教えている武道塾の一般の稽古――勇も受けている――でよかったのに――という勝子の心の声はそのまま強に聞こえてしまったらしい。
「予定は予定だ。それと礼儀はわきまえろ」と、強は厳しい師匠の顔になった。
勝子はよく磨かれた板張りの床に膝をつき、正座をして頭を垂れた。
「遅くなりました。申し訳ありません」
と、その時、強の木刀が勝子が座る右側から床をすべるように振りだされた。
木刀が膝を打つ寸でのところで勝子は飛び跳ね、打撃を交わす。
しかし次の瞬間には床に着地した勝子の肩に木刀が振り落とされる。
しかし勝子はやはり肩を打たれる直前に身をひるがえし、その木刀を交わした。
「さすがだな」
褒められたのに、勝子は怒ったように唇をキュッと結び俯いた。
先ほどの自分を悔いているのだ。
ひも、ほどけてるよ――
あんな嘘に引っかかってなぐられるなんて。
さすがどころかすきがありすぎだ。