いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー
彼女を守りたいワケ―強の場合
強が「勝子を守る」と決めたのは、勝子がまだ4歳のときだった。
12歳のとき、じい様との稽古で強はこてんぱに叩きのめされた。
小学生に対しては厳しすぎる稽古だったが、いずれは塾を継ぐ者として、強はじい様から容赦なくしごかれた。
かかっていってもかかっていっても簡単に打たれ、倒され、とうとう強は悔しさのあまり、仁王立ちするじい様の足元で泣いてしまった。
そのとき、兄ちゃん子で「にいにのそばにいる」と言ってきかず、道場の隅に座って大人しくしていた勝子がじい様に向かって突進していった。
「じいじ、にいにをいじめちゃだめ!」
小さな手を突き出してじい様に体当たりした勝子は、強を庇ってじい様の前に立ちふさがった。
じい様を見据えるその眼はきらきらと光り、とても真剣だった。
ふいのことに、一瞬驚いたじい様だったがすぐに相好を崩し、勝子の前にしゃがみ込んだ。
そして勝子の頭をなでながら「いじめてるんじゃないよ。にいにを強くしてるんだ」と、笑った。
12歳のとき、じい様との稽古で強はこてんぱに叩きのめされた。
小学生に対しては厳しすぎる稽古だったが、いずれは塾を継ぐ者として、強はじい様から容赦なくしごかれた。
かかっていってもかかっていっても簡単に打たれ、倒され、とうとう強は悔しさのあまり、仁王立ちするじい様の足元で泣いてしまった。
そのとき、兄ちゃん子で「にいにのそばにいる」と言ってきかず、道場の隅に座って大人しくしていた勝子がじい様に向かって突進していった。
「じいじ、にいにをいじめちゃだめ!」
小さな手を突き出してじい様に体当たりした勝子は、強を庇ってじい様の前に立ちふさがった。
じい様を見据えるその眼はきらきらと光り、とても真剣だった。
ふいのことに、一瞬驚いたじい様だったがすぐに相好を崩し、勝子の前にしゃがみ込んだ。
そして勝子の頭をなでながら「いじめてるんじゃないよ。にいにを強くしてるんだ」と、笑った。