いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー
眉がぼうぼうと濃く、真っ黒な髪を背中まで垂らした女子は、2人に囲まれて丸い肩をすぼめている。

「山城さんさあ、そんなに食うから豚になるんじゃないのぉ」

眉毛女子は山城さんというらしい。彼女はお弁当を守るように両手ではさみ、うつむいていた。

「そうだよ」
「デブが飯食う姿って気色悪」
ギャハハハハハ

「どんだけ太る気だよ」
ギャハハハハハ

「捨てちゃえよ」
目も鼻も顔も体も丸くて髪をボブにした女子と、カラコンで瞳を不自然に茶色く拡大させている細目の女子が交互に山城さんに絡む。

そこに茶色く染めた髪を肩のあたりでくるりとカールさせ、白いシャツにグレーのベストとプリーツスカートという清楚な制服には不釣り合いに隙なくメークした女子が近づいてきて、「楽しそうだけど何やってんのお?」とその輪に入った。
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