いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー
この子、僕のせいで怪我しちゃう――
恐怖と心配でパニックになりかけた勇だったが、倒されていくのは男子生徒の方だった。
彼女は強かったのだ。
身をかわし、足払いをし、突っ込んでくる相手を背負い投げする。
その動きは俊敏ですきがない。
「すげえ……」
と、勇が感嘆した瞬間、でかい男子がランドセルを手にして振り回し、それが勝子の顔面を思い切り叩きつけた。
「痛っ……」
彼女の鼻から真っ赤な筋がつーっと降りていく。
赤くなった頬に手をやり、それから鼻の下を指でぬぐった彼女は、手にランドセルをぶら下げて息を切らせている男子を見据えた。
恐怖と心配でパニックになりかけた勇だったが、倒されていくのは男子生徒の方だった。
彼女は強かったのだ。
身をかわし、足払いをし、突っ込んでくる相手を背負い投げする。
その動きは俊敏ですきがない。
「すげえ……」
と、勇が感嘆した瞬間、でかい男子がランドセルを手にして振り回し、それが勝子の顔面を思い切り叩きつけた。
「痛っ……」
彼女の鼻から真っ赤な筋がつーっと降りていく。
赤くなった頬に手をやり、それから鼻の下を指でぬぐった彼女は、手にランドセルをぶら下げて息を切らせている男子を見据えた。