いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー
「真田さん!」
最寄りの小さな駅。
パスモを手に、3機しかない自動改札機に向かうところで声を掛けられた。
振り向くと同じクラスの女子――名前はまだ覚えていない――がハアハアと息を切らせている。
走って追いかけてきたのだろう。
「真田さん、歩くのはやすぎ。あのね、玉木さんから伝言を頼まれて」
「玉木?」
条件反射で不機嫌な顔になる。
「駅に来る途中に大きな公園があるでしょ? 桜山公園。山城さんとその桜山公園の駐車場にいるから来て、って」
「どうして行かなきゃいけないの?」
勝子は彼女の顔見ながら数秒返事を待ったが何も言わないので、くるりと体を前に戻し、改札に向かった。
「どうしてって……行かないの?」
背中から聞こえる声を無視すると腕を掴まれ、勝子は改札機にパスモをタッチするまであと数歩というところで止まった。
最寄りの小さな駅。
パスモを手に、3機しかない自動改札機に向かうところで声を掛けられた。
振り向くと同じクラスの女子――名前はまだ覚えていない――がハアハアと息を切らせている。
走って追いかけてきたのだろう。
「真田さん、歩くのはやすぎ。あのね、玉木さんから伝言を頼まれて」
「玉木?」
条件反射で不機嫌な顔になる。
「駅に来る途中に大きな公園があるでしょ? 桜山公園。山城さんとその桜山公園の駐車場にいるから来て、って」
「どうして行かなきゃいけないの?」
勝子は彼女の顔見ながら数秒返事を待ったが何も言わないので、くるりと体を前に戻し、改札に向かった。
「どうしてって……行かないの?」
背中から聞こえる声を無視すると腕を掴まれ、勝子は改札機にパスモをタッチするまであと数歩というところで止まった。