いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー
「だから、どうして私が行かなきゃいけないの?」
「そ、それは……山城さん、玉木さんたちに何されるかわからないわよ」
「じゃあ、あなたが行けばいいじゃない」
「え、私?」
彼女はきょとんとした顔をした。
「だって、私は来たばかりの転校生よ。心配なら私に伝言なんてする間にあなたが行った方がよくない? あ、あなたも玉木さんたちの子分?」
 
別に勝子は彼女を怒らせようとして言ったわけではない。
素直にそう思って口にしたのだが、彼女は「違うわよ! 私は関係ない。ただ伝言しに来ただけよ!」と、血相を変えて怒った。
とても大きな声だったので、改札に向かっていた人たちが振り向いて勝子たちを見た。

「山城さんが何をされるかわからないって思っているのに、玉木さんの伝書鳩をホクホクしているんだから、関係ないってことはないんじゃないかな?」
彼女の手が、勝子の腕からするりと落ちた。
「だって……じゃないと……」
「自分もいじめにあうかもしれないから?」
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