いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー
「あなた、誰?」
100%ひかりの兄の浩二だと確信していたが、一応聞いておく。
「俺? ひかりの兄貴の浩二」
勝子の細い腕をつかみながら、浩二はこれまたひかりとよく似たニヤニヤ笑いを浮かべた。
まったく似た者同士の兄妹だな。
思わず顔をしかめた勝子はわずかに身体を捻って勢いよくひじを振った。
その拍子に勝子の肘がこうじのみぞおちに入り、「うっ」という声が漏れた。
「勝手に人の身体に触らないでくれる?」
いてーな、とみぞおちをおさえながらも女子高生に拒絶されたあげくに肘鉄を食らって恥ずかしかったのか、浩二は怒りはせずに苦笑いを浮かべた。
「君さあ本当に強気だね。かわいい女子高生を紹介してもらえるって聞いたから楽しみにしてきたのにな。とりあえずさ、カラオケでも行こうよ」

カラオケボックスなら密室だし酒も置いてある。
少し酔わせて少し脱がせて写真でもとったらいいんじゃないか、気が強い女なら、下着を見られたくらいでも痛手になるのではないか、他にも女子高生が一緒なら怪しまれることもないだろう――というのが、昨晩のひかりと浩二の計画だった。


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