いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー
「あー、手が滑っちゃった。ごめーん! 美加拾ってあげて」とひかりが言うと、
「やだ、手が汚れちゃう。美樹、拾ってよ」と美加――すべてが丸い女子――が、美樹――カラコン女子――に顔を向け、美樹は「自分で拾えばいいじゃん」と、俯いたままの東郷さんに言う。
それでもひかりが2人に顎をしゃくって促すと、美加がしぶしぶ床に散らばったサンドイッチやおかずをランチボックスの中に乱暴に投げ込み、机の上に戻した。
そして「あー、きったなーい」と、ドレッシングや油がついた指を山城さんのブラウスの襟でぬぐった。
卵の黄色やマヨネーズや唐揚げの油などが山城さんのブラウスにしみを作った。
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