いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー
と、そこへまた男が1人かけ込んできた。
「ああ、間に合ったか」
前髪が乱れ額に落ちたものの、走ってきたわりには息もきれず、涼しげだ。
「あー残念だけど、もう帰るとこ。危ないやつ連れてくるかと思ったけど、可愛い女子高生だけだったからトラブルもなかったし」
ね、と勇がわざとらしく浩二の横にいるひかりや美加、由貴たちに向かって笑いかけた。
可愛い――女子が大好きな言葉。
自分のことを可愛くないと思っている女子も、かわいいと思いこんでいる女子も、人から言われると嬉しい。
「間に合ったって、あんた誰? この人呼んだのも神谷(勇)お前かよ? でもさ、お前は彼女を連れて帰るんだろ? じゃあなんでこんなに人集める必要があるんだよ。それに危ない奴連れてくるってなんだよ。意味わかんねーよ」
知らない男が次々集まってきたが、一緒にカラオケをするためということではないという空気はさすがに浩二も読み取ったらしい。
じゃあどうして神谷はこんなに男を招集したのだ。
それもイケメンばかりを。
と、浩二が不振に思い、警戒心を浮かべるのも無理はない。
浩二は相手チームの男が4人に増えたことでビビり始めてもいた。
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