いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー
一方、ひかりと美加、由貴が浮き立ったのは、またイケメンが追加されたからだった。
「かっこいい……」
誰からともなく声が漏れる。
「この人は勝子の兄貴の強さん。勝子がやばいことされるっていう情報が入ったから念のため連絡したんだ。玉木、この人、見た目よりうーんと怖いから気をつけた方がいいよ」
「やばいことなんてしねーよ。ただカラオケに誘っただけだろ」
「無理やりね」
髙木さんが補足した。
「そうか? 女子高生をカラオケ屋に連れ込んでみだらなことをさせてもらえるらしい。で、写真でも取っちゃえば、ずっということきくんじゃね、って、玉木が言ってたって深山から聞いたけど。あいつやばいこと考えるよなって、さすがに呆れてたぞ。お前さあ、それ、犯罪だぞ。わかってる?」
つまり深山が勇に計画を漏らし、勇は彼女を助けるために身内を集めた――というわけだ。
勝ち目はない。
カラオケ屋に連れ込む前に計画はとん挫。
妹や妹のクラスメイトの前でバカにされているこの状況はダサすぎる――浩二は勇に向かって怒鳴りたいほどムカついたが、ケンカになっても勝てる見込みはない。
なので、思い切り顔をしかめ大きく舌打ちし、「なんだよ、大げさだな」と、言うにとどめた。
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