いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー
勇は安堵の息を吐く。
「お前、結構スキャンダラスなこというな。違うよ、強さんのことが好きだったりするのか、ってこと。ほら、よくあるじゃん、お兄さんに恋しちゃうみたいな」
「よくあるの? 私の周りでは聞いたことないけど。勇君、それコミックの世界じゃない? ブラコンてこと?」
「うーん、もうちょっとラブな感じ?」
「もうちょっとラブな感じ? って、どんな感じよ。気持ち悪いな」
「お前、気持ち悪いってなんだよ。気持ち悪いっていうな。傷つくだろ」
「だって意味分からないこと言うから」
「いや、いいよ。強さんにラブじゃないなら、いい。なによりだ」
眉をひそめ、勝子はいぶかしげな顔で勇を見た。
「好きよ。カッコいいし強いし、頭良いし。強ちゃんのこと、大好きよ、兄貴だけどね。私には強ちゃんがいるから彼氏なんて欲しくないの。これでいい?」
「なんで怒るんだよ」
「だって意味分からないことぐちゃぐちゃ言ってめんくさ」
「めんくさ? めんくさってなんだよ」
「めんどうくさい」
「なんだ、麺が腐ったみたいな男のことかと思ったよ」
「その解釈でもいいけど」
「よくないよ」
< 93 / 125 >

この作品をシェア

pagetop