いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー
「頼むって、何を頼むのよ?」
「あん? 何でもいいだろ」
本当は言いたいくせに、わざと勿体つけてにやりと笑う。
ムカつくのはあんたでしょ、と言うのはこらえ、ひかりは「まさか真田勝子を襲わせたりしないよね? そんなことしたら私が仕返しされるから――本当は勝子の兄、強に嫌われるのがイヤだから――やめてよね」と、くぎをさした。
「あのこには何にもしないよ」
まだにやにやと、浩二は不穏な笑みを浮かべている。
「あの子には、って、じゃあどの子にするのよ」
「そりゃあ」
「まさか真田勝子のお兄さん? あの人怒らせたらやばそうだったじゃなん。やめてよ、変なことしないでよ」
「だからさ、勇だよ。だいたいあいつが割り込んできたのが失敗のもとだし、あんな可愛いこと仲良しっつーのもむかつくし。いいかっこしやがって、俺のものになるはずだったのに。勝子ちゃんだっけ? 勇は彼氏じゃないって言ってたから、別に彼女も怒らねーだろ」
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