いつか恋とか愛にかわったとしてもー前篇ー
バスルームからシャワーの音が聞こえるのを待って、ひかりはラインのやり取りを見るために、テーブルの上に置きっぱの浩二のスマホを手に取った。
「パスワードは……」
光はちょっと考えて5050と打ち込む。浩二が好きな言葉「GOGO」だ。なにかあるとすぐ「ゴーゴー!」とはしゃぐ。でも、まさかね、と思ったらビンゴで拍子抜けした。
浩二の悪友で今はサイナスのリーダー、ハンドルネームはマッチョ。
2人の会話を開く。

「久しぶり。ちょっと頼みたいことがあるんだけど」
「なに?」
「ちょいムカつく奴がいてさ」
「だから?」
「軽くお仕置きみたいな?」
「どれくらい?」
「やばくない程度に」
「死なない程度ってこと?」
「怖いねw その手前くらいまで」
「なんだよそれ。いくら?」
「3万」
「やすくね?」
「5万」
「うーん。どうすっかなあ」
「よし、はねて10万!」
「で、誰? 面倒な奴じゃないよな」
「同じ大学のやつ。ふつーの大学生」
「オッケー。段取りは?」
「明日うちの大学をでたところで拉致しちゃってよ。俺いっしょに校門でるからさ」
「で、その後閉店中のウニクロ代々木店の地下駐車場とかつれてけば? 人いねーし」
「了解」
「3時に講義が終わるから、待機しててよ。でも拉致するのは俺とやつが分かれてからにして。じゃないと俺が仕組んだと思われるから」
「おまえが仕組んでんじゃん」
「あ、そうかww」
「じゃ明日」
「よろしく」
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