青春の蒼い花


俺は損をしているとよく言われてきた。


「好きです付き合ってください!」



「...ごめん。」



中一のとき、放課後の誰もいない教室で同じクラスを女の子から告白された。



「おい、お前これで何度目だよ??
もったいねえって!楠木さんフルとかまじありえねーわ!どんだけ理想高いんだよお前!」


次の日、いつも一緒にいる友達からそんなことを言われた。



「だって、好きじゃないし。」



「じゃーお前、どんな子がタイプなんだよ。」



「...わかんない。好きになったことなんてないし。」



俺がそう言うと、みんなは


「もったいない」


そう口を揃えて言った。





だから、自分なりに考えた。


人と付き合ってみたら何か変わるかもしれない。


好きになるかもしれない。



「あ、浅井くん.....」




教室移動で、忘れ物をとりに教室に戻ってきた俺は、たまたま楠木さんと教室で二人きりになった。



俺を見るなり彼女は慌てて教室を出ようとした。



いつもそうだ。


俺に告白してきた女子達は、次の日から俺を避けるようになっていた。


俺は悪いことをした気分になった。



今もこうして、何かトゲが刺さったように胸がいたくなった。



「待って楠木さん。」



そして俺は初めて彼女の名前を呼んだ。


「やっぱり俺と付き合わない?」



俺のその一言で彼女の顔は、ぱあーっと明るくなった。


「うんっ!!」



その顔が俺を嬉しくさせた。



< 106 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop