青春の蒼い花
俺は損をしているとよく言われてきた。
「好きです付き合ってください!」
「...ごめん。」
中一のとき、放課後の誰もいない教室で同じクラスを女の子から告白された。
「おい、お前これで何度目だよ??
もったいねえって!楠木さんフルとかまじありえねーわ!どんだけ理想高いんだよお前!」
次の日、いつも一緒にいる友達からそんなことを言われた。
「だって、好きじゃないし。」
「じゃーお前、どんな子がタイプなんだよ。」
「...わかんない。好きになったことなんてないし。」
俺がそう言うと、みんなは
「もったいない」
そう口を揃えて言った。
だから、自分なりに考えた。
人と付き合ってみたら何か変わるかもしれない。
好きになるかもしれない。
「あ、浅井くん.....」
教室移動で、忘れ物をとりに教室に戻ってきた俺は、たまたま楠木さんと教室で二人きりになった。
俺を見るなり彼女は慌てて教室を出ようとした。
いつもそうだ。
俺に告白してきた女子達は、次の日から俺を避けるようになっていた。
俺は悪いことをした気分になった。
今もこうして、何かトゲが刺さったように胸がいたくなった。
「待って楠木さん。」
そして俺は初めて彼女の名前を呼んだ。
「やっぱり俺と付き合わない?」
俺のその一言で彼女の顔は、ぱあーっと明るくなった。
「うんっ!!」
その顔が俺を嬉しくさせた。