青春の蒼い花


「ねえ、たく兄、私たく兄のことが好きなんだ...。
だから、たく兄とキスしたい。」



珍しく菜摘が1人で俺の家へやって来たかと思うと、顔を真っ赤にさせながら菜摘は俺に告白をした。


可愛い。


本当にそう思ったんだ。



だから俺は菜摘にキスをした。



すると俺の見たかった以上の嬉しそうな表情を俺に向けた。



「じゃあ、たく兄と付き合えるんだよね。」




そう嬉しそうに菜摘は言った。



そこで俺はハッとした。



「わりー菜摘、俺、彼女いるわ。」




こうして俺は菜摘に嫌われた。


『もったいない』


その言葉に囚われて、俺は来る者拒まずという選択ばかりをしてきた。



最初ころはそのせいで傷つけてしまう子もいた。


だけど、最近となっては
俺に近づいてくる子たちは、
それを承知しているようで、

俺が他の女子と歩いてても、
デートの約束をしても怒ってこなくなった。


「卓巳と付き合うのやめる。
やっぱり、私だけ愛してほしいもん。
だから他の男探すわ~。」


俺の元から去っていく女子はよくこんなふうに言う。


俺はちゃんと愛していた。


でも、それを1人にだけそそぐことができなかった。



だからといって、それを責めてくるやつはいなくて、そこが良いといってくれるものさえいた。



周りからはチャラい、浮気性、そんなイメージがついていることはわかっていた。


それでも、別にかまわなかった。

周りよりも若いうちに女の子と手を繋いで、キスをして、それ以上も。

それが自慢出来ることで、得なことだとわかっていたから。


男どもからはよく思われていないのは気づいていた。


でも、俺のことをよくわかってくれるやつだけでよかった。

俺の友達は俺を酷いやつって言ってくるけど
それでも俺のそばにいてくれた。


だから、別によかった。


女の子たちとわちゃわちゃしている方が

人生を何倍も得している気分になれたから。




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