青春の蒼い花


たく兄の家を出ると、丁度お母さんが仕事から帰ってきたところと鉢合わせてしまった。


「こら、蒼衣!またあんたは卓巳


お母さんの言葉は聞いていた。

でも、あの時は、たく兄はとても近い存在で、この先もずっと一緒にいて、たく兄もそう思っているはずだと思っていた。


だけどそれは違っていて、
たく兄は私より遥かに大人で、高校生ってだけで年の離れた存在であるはずなのに、
来年私が中学2年生になった頃には、たく兄は大学生になっているんだ。

そう思うと、私はまだまだ子供で
母親から言われたことを守れない未熟者で、
たく兄とは遠かった。



私はその日以来たく兄の家には行かなかった。
< 11 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop