青春の蒼い花
たく兄に言われた通りに教室で、たく兄からの連絡が来るまで待機をしている。
生徒と一緒に車に乗り込むところを見られるのは、さすがに実習生という立場でもまずいということで、
たく兄が校門をすぐ出てのところに車を止めて、その後連絡がきたら、私が教室から出てたく兄の車に乗るということらしい。
まだすぐにには車を出せないから、少しだけ待たせることになるかもしれないと言われた。
待っている時間、私はウキウキしていた。
まだ緊張してしまう自分がいるけど、それでもたく兄といる瞬間はドキドキしていて、この3年間になかったキラキラした時間が流れていた。
ガラガラ
すると、教室の後ろのドアが開いた。
教室には私しかいなくて、しんと静まり返っていたので、突然の物音に私は肩をビクンと跳ねさせた。
開いたドアの先にいた人物も同じように驚いた顔でこちらを見てくる。
「びっくりした~。
なんだ、白石かよ。何してんの?」
それは高津だった。
「んーと、…親が迎えに来るの待ってんの」
私はとっさに嘘をついた。
「あーそう」
「高津は?」
「俺は水筒忘れてて…あっあったあった。」
そう言って机を覗き込んで言った。
高津はサッカー部で、1年生であるけど、そこそこ活躍しているようだ。
ユニホーム姿の高津を初めてみた。
半袖にハーフパンツで、腕やふくらはぎの筋肉に男らしさを感じた。
「…何?」
「いや、高津って結構筋肉質だね。」
つい見つめてしまっていた。
私はそれをあっさり認め、そう言うと
高津は嬉しそうな顔になった。
「まあ、毎日筋トレしてるし!
なんなら触ってみる?」
そう言って私に左腕を近づけてきた。
ふわりと香ったのは高津の匂いだった。
制汗剤とかそんなのじゃない。
少し汗をかいていて、でも全然臭くない。
それどころかなんだか吸い寄せられるような、癖になるような、安心する匂い。
前々から思っていた
高津はいい匂いがする。
私は差し出された高津の腕をペシンと叩き、「別にいいから。」と素っ気なく言った。
高津も私の反応に予想通りという顔をしていた。
ピロン
そこにLINEの通知が入る。
画面を表示するとたく兄からだった。
「親から?」
ドキン
「うん」
「そう、じゃあ俺も部活戻るわ」
私たちは教室をあとにした。