青春の蒼い花
お母さんから聞いた話だと
たく兄は小さい頃からサッカーをしていて、
中学生の時にはジュニアの代表チームに選ばれたり、
高校生の時には、サッカーが強くなかったうちの高校から初めて全国大会出場という記録を残した。そのときキャプテンをしていたのがたく兄だ。
近所では誇らしい存在だった。
サッカーの道でも進んでいけるのに、彼は学業の道に進んだ。
サッカー以外にも彼は勉強でも天才的であったから。
小さい頃の私はたく兄がそんなに凄い人だなんてちっともしらなかったけど、
同じ中学、同じ高校に通うようになると
伝説の卒業生としてたく兄の名前が先生たちの口から出ていた。
その度にドキッとしていたな。
そして、嬉しかったっけ。
優秀、天才、と誰からにも誇りに思われるたく兄が私は大好きだった。
会えない間もずっと好きだった。
だけど、ひとつだけ気になることがあった。
それはある男教師が言っていた言葉。
“でもあの生徒って
女癖が悪いって評判でしたよね”
これはただの先生の僻みだとこの時の私はそう思っていた。