青春の蒼い花
「ただいまー」
今日は1人で帰ってきた。
放課後、隙をみてたく兄に
今日一緒に帰れないのかと話しかける
放課後も部活動に参加するとのことだった。
私と同じ時間にそそくさと帰っていく実習生の人たちをみると、たく兄はこの人達より頑張っていて立派に思えて嬉しくなった。
家に帰ると、お母さんとお姉ちゃんが帰ってきていた。
「おかえり、蒼衣。
あら、卓巳君は?」
昨日は一緒に帰ってきたせいか、早速母が聞いてきた。
「サッカー部にOBとして参加してるんだって」
私がそう言うとお母さんは嬉しそうな顔になった。
それに比べ、お姉ちゃんは
たく兄の名前が出た途端不機嫌そうな顔になる。
「まさかたく兄が教師目指してるなんてね」
お姉ちゃんが言った一言に私も凄く共感した。
「私もびっくりした!たく兄教師になりたかったんだね!昔は全然気づかなかった!」
「いや、そうじゃなくて、たく兄がそんな真面目な職業につこうとしていること。あの人相当なたらしだったでしょ。」
一瞬、お姉ちゃんが誰の話をしているのか分からなかった。
たく兄がたらし…?
考えただけでも笑いがでるほど、想像がつかなかった。
「何言ってるの、お姉ちゃん。
たく兄が?そんなわけないじゃん」
私が笑いながら言うと、呆れたようにため息をついた。
「あの人、蒼衣の前ではいいお兄ちゃんやってるんだっけ。
ほんと、クズだよ、あいつ。
蒼衣も見たことあるでしょ?
たく兄の家に女の人がよく出入りしていたの。」