青春の蒼い花
記憶を巡らせると、そんなことがよくあったような気もする。
たく兄の彼女かなっと思ったことはあるけど、たく兄は私に友達だよっと言っていた。
私はたく兄とたく兄が連れてきた女の人と一緒に遊ぶことがあった。
連れてくる女の人はいつも一緒ってわけじゃない。
その理由はたく兄がたらしだからじゃない。
その理由は私だ。
私がたく兄に告げ口をしていた。
「ねえ、蒼衣ちゃん?
私ね、卓巳君ともっと仲良くなりたいの。
だからお姉ちゃんのことまた家に呼んでえるように卓巳君に言ってくれない?」
「私ね、蒼衣ちゃんのこと大好き!
蒼衣ちゃんもお姉ちゃんのこと好きだよね?だからね、浅井君に私の話してくれないかな~?」
遊びに来るお姉ちゃんたちは私にそう言い残していった。
小学生だった私にも彼女たちが何でそんな言うのかはわかった。
だから、私はたく兄に言ったんだ。
もう、あの人呼ばないでって。
だから私が来て欲しくないと言った人は二度と来ることはなかった。
中には本当に優しいお姉ちゃんはいたけど、その頃は私もたく兄のことが好きで、独り占めしたかったから、女の子はもう呼ばないでって言った。
すると、たく兄はそれっきり女の子を家にあげることは無くなった。
だけど、私はふとあの日の光景を思い出した。
たく兄が受験で会うことを許されなかった時期に、窓越しに何度か見た女の人。
制服であるたく兄に対し、いつも可愛い服を着ていて、たく兄の家に入っていく二人を見ていた。
あれ以来、唯一たく兄の家に上がっているのを見たのはその人だった。
あれはたく兄の彼女だったのだろうか…
そう思うと、あの頃のたく兄の彼女はあの人唯一だったであろう。
私はそう思っていた。