青春の蒼い花

私の手元を見て、たく兄は私を脱衣場に入れてくれた。


そして自分は外にでると

「風呂場入るまで俺はここにいるから」


そう言ってドアを閉めた。




どうやら私が持っていた着替えの服をみて、私がお風呂に入ろうとしていたのを察してくれたようだ。



トップス、ズボン、靴下と脱いでいき、
最後に下着を脱いでいく。


いつもは意識しないことが、ドア越しにたく兄がいると思うとドキドキした。



風呂場に入り、シャワーを浴び始めると、
洗面台を使っている人の気配を感じた。

たく兄が入ってきたんだ。



やっぱりドキドキした。



シャワーを止めると、ブクブクとうがいをする音が聞こえる。


それを密かに聞いていた。



「なあ、蒼衣」


突然話かけられてビクリとする。


風呂場ではたく兄の声が包み込むように響き渡る。



「菜摘の誕生日って今週の土曜日だったよな?」


「うん…そうだけど」



「じゃあさ、一緒にプレゼント見に行かない?」



毎年お姉ちゃんとはプレゼントを渡しあっている。



でも、たく兄がお姉ちゃんにプレゼントを渡そうと考えているなんてびっくりした。

いつもあんなに毛嫌いされているのに。

いくら優しいたく兄でもあれには堪えているのかなっと思っていたけど、
たく兄とって私のお姉ちゃんは私と同じくらい大切にしてくれているんだなっと思った。



「うん、行く!」


私のその一言を聞くと

「じゃあ後は部屋戻って来てから話そう」


そう言って出ていった。



ちゃぷん




湯船に浸かるときに出る水の音がくすぐったかった。

でも、それがなんだか嬉しくって

私は手の平を水面に叩くつけるようにして、わざと音をたたせた。


今までの会話が現実だという事実を確かめるように。


子供のようなその行動が、私の心の中の気持ちを満たしてくれる。



土曜日はたく兄と…デートだ!!


< 36 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop