青春の蒼い花
コンコン
夕食後、部屋へ戻っていったたく兄のあとを追い、部屋に入れてもらった。
「なんで、あれがいいと思ったの?」
なんであのアクセサリーショップを選び、沢山ある商品の中であのイヤリングを選んだのか、ずっと気になっていた。
atyunaのネックレスを持っているというのは知っていたけど、お姉ちゃんがその店が大好きで、働き始めたらそこのアクセサリーを集めようとしてたなんて、私ですら全く知らなかった。
それを私は今日の夕食の時に知ったのだから。
でも、たく兄は
あの店に入ると、
それまでの店では何も言わず、ただ通路を通って商品を見て回ると、数分でその店をあとにしていたのに対し、
あのイヤリングを見つけた途端、立ち止まって、これにしようと決めてしまったんだ。
たくさんの商品をみて回ったけど、迷うことなく、たく兄はあれを選んだんだ。
適当に選んだわけでもなく、正しくお姉ちゃんが欲しかった物だった。
「何となくだよ。
菜摘がこの前外出するっていってお洒落して出て行った日、良さそうなネックレスつけてるなって思ってさ、
俺もさすがにどこのブランド物かまでは分かってなかったけど、今日あのatyunaって店入って、店の雰囲気見たらここだって思ったら、案の定同じネックレスが置いてあって、その近くにあのイヤリングがあったんだよ。
だから何となく、これしかないって思ったんだ。
あんなに喜んでもらえるとは思わなかったよ。」
たく兄の洞察力にはいつも驚かされる。
毎日一緒にいた私でさえ、お姉ちゃんがお洒落するとき、あの店のネックレスをしてたなんて気づかなかったし、どんなネックレスかも覚えていなかった。
たく兄は昔から人の名前と顔を覚えるのが得意だった。
だから、
「髪型変えたんだ」とか「それ、いつも持ってるね。お気に入りなの?」とか
いつも見てくれているんだと
勘違いしてしまうようなことを言ってくる。
それだけ、女子からは大人気だ。
たく兄はチャラいとかたらしとかそんなんじゃない。
優れた才能にみんなが引き寄せられ魅了させられるんだ。