青春の蒼い花
放課後、俺はサッカー部の連中と一緒に自販機の前で話をしていた。
するとそこへ浅井先生が通りかかった。
「浅井先生!今日部活来ないんですか?」
「今日デートだから、早く帰るんだ」
冗談ぽく言ってのけるとすぐにいなくなった。
「先生頑張ってな~~」
「おー」
そのあと、代わるようにして廊下を白石と木崎が通りかかった。
「よ~、木崎と白石!
今日部活だったよな~?何作るんだよ?」
「また長瀬じゃん。この間部活で作ったクッキーあげたからって、私たちの活動日チェックしないでよね!」
「だって美味かったんだもんよ~
またくれよ~!」
「や~だ!」
木崎は白石と仲がいいクラスメイトだ。
私友達少ないからと言っている白石だが、
木崎とはずっと仲がいいようで、教室移動や部活へ行く前はよく二人でいるのを目にする。
最初、白石と隣の席になったときは、
ほんと暗いやつで、友達いないんだろうなーって思って思わず声掛けてみたけど、
意外にも面白いやつで、今では痴話喧嘩するほど仲良くなってしまっている。
って、もしかして仲良いと思っているのは俺だけだったりして。
チラッと白石を見ると目が合った。
「何作るの?」
「今日はカップケーキ!」
「え~いいな~、俺も料理部入りたい」
「食べるだけじゃダメだよ!ちゃんと作らないと!」
「うわ、痛いところつかれた」
いつも隣同士の席で話しているようにして笑いあっていると、
横では長瀬と木崎が派手に言い合いをしている。
「もう行こ!蒼衣!」
「あっ、うん。」
まだ会話の途中だったが、白石は木崎に手を引かれて連れていかれてしまった。
「白石~、俺の分も頼んだぞ~。
木崎のは毒が入ってそうだから遠慮するぜ」
「うるせえ!」
立ち去る二人を見ていると、またしても白石と目が合った。
俺が手を振ると白石も手を振り返してきた。
俺たちに恋愛感情はない。
ただ他愛もない会話をして楽しんだり、喧嘩をしたり、寂しそうにしていたら慰め合って…
俺にできた唯一の異性の友達だ。