青春の蒼い花
目を覚ますと、長い間寝ていたように感じた。
しかし、先生が起こしに来なかったということはまだ一時間は経っていないのだろう。
でも時間は気になった。
保健室にある時計を見ようとするには一度ベッドから出なくてはならない。
お腹の痛みは薄れたが、まだ動くのはめんどくさかった。
キーンコーンカーンコーン
授業の終わりのチャイムが鳴った。
それでも私の様子を覗きにこない先生。
私は不思議に思いながらもベッドから下りた。
カーテンを開けて、先生が使っているデスクの方を見ても先生はいない。
「先生…?」
私が寝ている間に出て行ってしまったのだろうか?
このまま黙って保健室をあとにしていいのか悩んでいると
隣のベッドから
「白石さん…?
起きたの?」
春川先生の声が聞こえて来た。
私の隣のベッドはカーテンを閉め切っている。
私のあとに誰か来て、そこのベッドを使っているのだろう。
先生はすぐにカーテンの隙間から姿を出した。
「もうお腹の調子は大丈夫なの?」
「はい。今回は本当に痛くなくなりました。
それに次の授業は休めないので!
お世話になりました。」
「いいえ。いつでも来てね。」
私は部屋をあとにした。
保健室の前の廊下はしんと静まっていた。