青春の蒼い花


「…隣にいたの蒼衣だったんですね」


しばらくするとさきほど春川が出てきたカーテンの後から、浅井が現れた。



ジャケットを羽織りながら、保健室にある鏡の前で身だしなみをチェックする。


「…蒼衣…?


あーあ、そう言えば
卓巳くんの隣の家の子、蒼衣ちゃんっていってたわね。

あの子だったのね…。


でも、よかったの?

もしかしたら白石さん、起きていたかもしれないわよ?」



「それは大変ですね。


俺、蒼衣にだけは嫌われたくないですから」



「へぇーそうなんだ。
なんか妬けちゃう。」


「何言ってるんですか。
俺は妹としか見てませんよ。」




「そう……妹…ね。


ねえ、卓巳くん、
もしかしてこの次のあなたの授業って
1年3組?」




「え…っ、なんでわかったんですか?」




ふーん、そういうこと。




どうやら、向こうはあなたのこと
お兄ちゃんだなんて思ってないようだけど?




「絶対に渡してなんてあげないから」





< 57 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop