青春の蒼い花

浅井先生


「浅井先生、おはようございます!」


いつものように6時半に学校の門をくぐると、今日は青い車が止まっていた。



着替えをすませてグラウンドに出ると、ジャージ姿の浅井先生がいた。


同じように着替えを済ませたやつらが浅井先生に挨拶をしに行く。


嬉しそうにみんな挨拶をしていた。


だけど、俺だけはそれができなかった。


「…おはようございます。」



「おう!みんなおはよう!」



「お!浅井先生!おっはー
昨日のデートはどうでした?何したんですか?」



長瀬たちがやって来た。


長瀬と岡崎と中司が浅井先生を囲むようにしている。


俺もその輪に自然と入った。


「未成年には言えないやらしいこと」


「うわ~先生えっちぃな~」


けらけら笑っているこいつらの会話に俺は入れずにいた。


元々俺はこういう系の話が得意ではない。


嫌いとかではないけど、自らもってくることはないし、よく知らない。


恋愛にあまり興味が無いのが原因だろう。



だけど、それだけじゃない。



俺はここ最近、この浅井っていう実習生の謎な行動が気になって仕方がない。


以前、この人の笑顔が不気味に見えてから
この人が女子に振りまいている笑顔は仮面でも被っているように俺には見えている。


今は男ばかりであるが、浅井先生はまだその仮面を外していない。


そして俺は気づいたんだ。


この人が仮面を付け忘れるのは、俺が白石と話しているときだと。


授業中に白石と話していると、やけにあいつは俺たちの間に割って入ってきた。


別に嫌な気はしてはいなかったけど、頻繁に起こるから不思議に思っていた。


先生の目を盗みながら白石と話していて、先生の様子を確認しようとチラチラみていると、毎回こちらも睨む先生の目とぶつかる。


俺はとっさに目を逸らしたが、その後寒気が止まらなかった。


そんな俺を心配してくれたのは白石だった。


でも、すぐにあいつがやってきた。


「高津くん、大丈夫?調子悪い?」



優しそうに話しかけてきた浅井先生の顔にはまた仮面が付いていた。



俺はゾッとした。



最初の印象はチャラいなって思ってそのあとは好印象。



だけど、今は怖いただそれだけ。


不気味で怖い人



こんなこと思ってるのは俺だけかもしれない。




だけど、チラッとこちらを見て
ニコリと微笑むあいつの笑顔に、

俺はどうしても笑顔で返すことはできなかった。




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