青春の蒼い花

「浅井先生ってノリがいいよな」

「授業もわかりやすいし、俺結構好きだわ」


朝部を切り上げて、教室に向かっていると
俺と同じクラスの長瀬と岡崎が揃って言った。



「俺らであだ名考えようぜ!」

「なあ、何がいいと思う?勇心」


あまり乗り気じゃない俺に話を振ってくる。


あだ名なんて言われても…


「んー俺、そういうのセンスねーしなー」


「原みんみたいにさ、浅みんとかは?」

「えー、浅井先生そういうキャラじゃねえって」



わいわい騒いでいるが、俺にとってはどうでもよかった。



浅井先生って名前を聞くと俺はどうしてもあの不気味な笑顔が蘇ってきて、寒気に襲われる。


「おい、勇心!どこ行くんだよ」


「俺、あの実習生苦手かも。
なんかあの人猿みたい。」



俺は後にいる長瀬たちを無視して教室に入り、席についた。



一度聞いたことがある噂。


本当かどうかは知らないけど、浅井卓巳は相当なたらしだったという噂だ。


仮面をかぶり、キャーキャー女子たちに言われているあいつの姿を見ると俺はどうしてもむしゃくしゃしてならなかった。

聞こえはただの僻みにしか聞こえないだろう。


だけど、それだけじゃないんだ。


それは俺の勘でしかないけど、


でも嫌な胸騒ぎがするんだ。


< 60 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop