青春の蒼い花


「あ!殿だ!」


放課後になり、部活をしにグラウンドに向かうと、そこにいた浅井先生を見るなり、
長瀬たちは彼にそう言って飛びついていった。



殿?



それがあの人のあだ名なのか?


なんで殿なんだ…?



俺は何も聞かされていなかったから、出遅れてみんなの後ろをついて駆け寄った。


「殿って俺のこと?」


突然意味不明なあだ名をつけられ、浅井先生も困っているようだ。


「そーすっ!」


「何、君ら、俺の家来なの?」


「殿、今日も一緒に玉蹴りしましょうぜ!」



「おお、いいよ!
てか、殿って呼ばれるのくすぐったいけど、何か気に入ったわ」



先生が気に入ってくれたから、まあいいけど



殿って…



確かにこの人は、顔だけで戦国時代も生き延びていけそうだしな



浅井先生の顔を見ると嬉しそうだった。


生徒と仲良くなれたと思い、喜んでいるのだろう。



だけど、ニヤニヤと立ち去っていく
あいつらの様子をみると、なんだかあのあだ名に何か秘密があるのではと疑いたくなった。




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