青春の蒼い花


「俺見たんだよ」



話し始めたのは長瀬だった。



「あの実習生の車に…





…白石が乗り込んでいるところ」






え……?



これは聞き捨てならない話だった。



なんで、ここで白石が出てくるんだ?


てか、なんで白石があいつの車に??





「あの日、部活が無かった日に、親が近くを通りかかるってことで放課後校門のところで迎えの車を待ってたんだよ。


そしたら、浅井先生があの青い車で帰ろうとしててさ、校門でたと思ったら、近くのコンビニで止まって、


しばらくしたら、校門で白石とすれ違ったんだ。少し喋ったけど急いでる感じだったから、バイバイしたんだけど、



白石が向かったのはあの青い車だったんだよ。


俺も最初は目を疑ったけど、確かにあれは浅井先生の車で…



でもそれだけじゃなかった。」



長瀬のここまでの話を聞いて、


なんで白石とあの実習生が?


と思ってならなかった。




白石は割と大人しいやつだ。



他人と関わるのを面倒くさがるあいつが
あの人の車に乗り込むなんて想像できなかった。

多分、怪我をしたか体調が悪くて送ってもらったってところだろう。



だけど、考えているうちにあることを思い出した。




「…そう言えば、




俺、白石が青い車に乗り込んでいるところ前に見たことあるわ……」





2度の目撃。


これで確実だと思えるだろう。




前に白石が学校近くのコンビニに止められていた車は浅井先生の車だったと。



「それに、俺聞いたんだよ。
俺の兄ちゃん、殿と高校の同級生らしくて、実習生の名前出したら、あの人のこと色々話してくれて、


最初はすげえ奴だって褒めてたけど、

途中から、あいつに彼女とられたとか、
いつも違う女連れて遊んでたって言ってたよ。」




そう打ち明けたのは岡崎だった。




「マジかよ…」



次々に明かされる浅井の真実に驚きを隠せないが、


驚きよりも俺はショックでならなかった。




それはどうにも、あいつが目をつけた女の一人が白石だったからだろう。



なんで、白石はあんなやつに……




別に俺は浅井に酷いことをされたわけではないけど、


なんだか許せなかった。




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