青春の蒼い花
クラスみんなの役が決まると、ちょうどチャイムが鳴り、今日の授業は終わった。
まだ席についている私に
ドンっ
と誰かがぶつかってきた。
振り向くとそこにいたのは、女子が3人。
私の苦手な、麻生さんと
いつも麻生さんの隣にいる阿川麗美ちゃんと吉永結花ちゃん。
ぶつかってきたのはそっちなのに
3人とも私の顔を睨みつけてくる。
「ねえ、白石さん。
ちょっと話があるんだけどついてきてくれない?」
「え…なんで」
「いいから、早く早く!」
そう言ってわざとらしい作り笑顔で
私の腕を強引に引っ張って、教室から連れ出した。
たどり着いたのは、普段だれも通りかからない校舎裏。
なんだかドラマで見たことがある感じだ。
ああ、これって
いじめってやつか。
痛いくらい腕を引っ張られていると思ったら今度はドンッと突き放されてよろけて壁にぶつかった。
「あんたさ、誰の許可得て高津くんにベタベタしてるの?」
目の前には腕を組んで怖い目で私を見下げている三人の姿があった。
「………」
「なんかいいなよ!」
誰の許可って…
高津は誰のものでもないでしょ。
「他の男子とは喋ろうとしないくせに、高津くんにはベタベタしてさ。キモいっつーの。」
「ほんとよ。それに最近浅井先生にまでキモい目で見てるし。気色悪いのよ。クラスにいると本当に目障りなの。」
別に高津にもたく兄にも
ベタベタしに行っているわけじゃない。
向こうも楽しそうにしてくれてた。
だから、違う!
そう言い返してやりたいけど、
怖くて口が動かなくて、体も動かなくて
何も言えない。
「隣の席だからって、彼女でもないくせに
同じストラップなんか付けちゃって、
調子乗らないでくれない?
高津くんはみんなに優しいだけなの。
自分だけだなんて勘違いしないでよね。」
何も言わない私の態度が気に入らないのか、
ますます彼女たちの口調は激しくなり、
ついには私の頬にめがけて麻生さんの手がふりかかってきそうになった。
私はそれから逃げようとするが、よろめいて転けてしまった。
彼女のビンタを喰らうことは無かったが
膝を擦りむいてしまい、血が滲んでいる。
「いい気味。
避けるのが悪いのよ。
今度痛いめみたくないなら、
今後一切高津くんには近づかないでよね。」
彼女たちはそう言い残して、立ち去ってしまった。