青春の蒼い花
あの日からたく兄とは気まづくなって真面に話をしていない。
たく兄は何事もなかったように振舞っているけど、
私にとってはなかったことにはできない。
多分、あれは
私に諦めさせようとしたんだと
あとから色々考えて、気づいた。
黙り込む私にたく兄は寂しそうな顔で
「もう最終下校時刻過ぎてるから、帰りなよ?」
それだけ言うと、どこかへ行ってしまった。
その後ろ姿だけを私はじっと見つめていた。
あの日のたく兄は誰だったんだろう…
でも確かにここにいたのは
たく兄だった…
日が暮れ、空は薄暗くなっていた。
昇降口前の廊下にある大きい鏡の前に来た時、
ふと足を止めた。
そこに映っていた自分の姿が
なんとも無様で
嫌気がさした。
なんで
こんなふうになっちゃったんだろう
私は頭にのっている枯葉をとり、
服についているほこりを払った。
泣きたい気分だ。
私はぐっと下唇を噛んだまま、
少し肌寒いく、寂しい空の下を一人で帰った。