青春の蒼い花

離れ離れ



今日朝早くに家を出て、誰もいない教室であのストラップを探した。


でもやっぱりいくら探しても見つからない。



諦めようとしたとき、



ちょうど教室に麻生さんたちが教室に入ってきた。



大声で笑いながら入ってきた彼女たちは、
私を見るなり、冷たい目で睨みつけてきた。



私は勇気を出して彼女たちに話しかけた。


「あのね…



私のストラップ…どこにやったの?」




思った以上に私は怯えていた。



普段から特にこの人達から嫌われているのは気づいていたけど、そんなのほとんど気にしていなかった。


だけど、それは無視して逃げてカッコつけていただけで、


私は案外弱くて、



彼女たちの前に立つだけで足が震えた。




「はあ?
何、いきなり?
あんたのストラップ?知るわけないじゃない」



麻生さんは吐き捨てるように言った。



その後、三人は顔を見合わせながらクスクスと笑った。



無駄だとはわかっていた。


でも、あれだけは返して欲しかった。



高津の悲しむ顔を見たくなかった。



「お願い!あれだけは返して!」


私は必死に頭を下げた。



でも、私の上から降ってきたのは彼女たちの笑い声だけ。

急にぴたりと止まり、私が顔を上げると
麻生さんは怖い顔で言ってきた。


「一生返すわけないじゃない!
あんただけ卑怯なのよ!高津くんに色目使って近寄って!あんなもの貰ったからっていい気になんじゃねーよ!!」



ドンと肩を押され、私はバランスを崩して
近くの机にぶつかった。


廊下から誰かが近づいてくる声がする。



彼女たちは私を睨みつけながら、自分たちの席に戻って行った。



< 83 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop