青春の蒼い花
辛い過去
文化祭まであと1週間をきった。
生徒達は毎日真剣な顔で準備に取り組んでいる。
私が演じる町人 Aはセリフ無しで踊りだけ。
数時間で完璧に覚え、小物や背景の準備を手伝ったり、明日香の演技の特訓に付き合った。
「どう?明日香、変じゃなかった?」
「変じゃないけど、さっきのセリフはもっと悲しそうな表情で、トーンを下げたほうがいいかも。」
「そうだね。
てか、私この前初めて聞いてびっくりしたんだけど、明日香中学の時演劇部だったの!?
それも団長!!」
「うん…」
「なんで言ってくれなかったの?
あんたセリフもないのに、劇の流れや私や他の人のセリフも全部覚えてるし、
私に演劇教えてくれるのも上手だし、
高校でも演劇すればいいのに。」
別に隠していたわけではない。
ただ高校では目立たずに過ごしたかった。
私は演劇にいい思い出はなかったから…。
そんな私の様子を見て、明日香は気を使ったようで
「ごめん…私余計なこと言っちゃった?」
と申し訳なさそうに言ってきた。
私はそれを否定して首を思いっきり横に振った。
明日香にだけは言おうと思った。
「実はね…
中学の頃、部活が嫌いだったの…」